出典:photoAC
みなさんは信州サーモンを知っていますか?鮮やかなサーモンピンク色の身と、口の中でとろけるような舌触り。臭みは全くなく、常時脂がのったトロのようなおいしさ。一度口にするとトリコになってしまう人が多いのだとか。そんな不思議と魅力のいっぱい詰まった、信州サーモンについて詳しくご紹介します!
Contents
信州サーモンとは?
そもそも信州サーモンとは何なのでしょう?海のない長野でなんでサーモン?と思う方も多いのでは。実はこの信州サーモンは、名前にサーモンとつきますが、一般にいわれているサーモンとは全く別物です。まず、サーモンと鮭が同じものであることは知っている人も多いですが、その名前の区別を知っている人はあまり多くありません。鮭とは加熱加工して食べる天然の鮭のことで、一方、サーモンとは生食が可能な養殖された鮭のことです。同じく、トラウトサーモンやアトランティックサーモンもそれぞれ、海で養殖された淡水のニジマス、養殖されたタイセイヨウサケ(大西洋鮭)のことです。ノルウェーサーモンは、ノルウェーで養殖された厳しい基準を満たしているタイセイヨウサケのことです。
ところが、信州サーモンとは鮭でもサーモンでもない全く別のブランド魚なんです。安曇野市にある長野県水産試験場が「長野でしか食べられない長野ブランドの魚を作りたい」という思いで生まれました。10年もの時間をかけて研究開発された信州サーモンは、平成16年(2004年)に農林水産庁の承認を受け、ようやく完成しました。最新のバイオテクノロジーを駆使して完成した信州サーモンは、ニジマスとブラウントラウトの交雑種です。
では、なぜサーモンの名前がついたのかというと、魚の特徴がサーモンに似ているからです。虹色に輝く体と、鮮やかでつややかな紅色の身、肉厚で脂ののったトロけるような舌触りはサーモンといわれても違和感がありません。つまり、信州サーモンとは長野水産試験場が開発した、サーモンによく似た特徴を持つブランド魚ということになります。
どうやってサーモンピンクになるの?
信州サーモンは長野水産試験場が苦労の末に作り出した、ニジマスとブラウントラウトの交雑種のため、海水ではなく長野にある淡水の水産養殖施設で養殖することができます。普通に飼育しただけでは、サーモンのような鮮やかなピンク色になることはありません。天然の鮭やマスなどは、オキアミと呼ばれる赤いエサを食べることで、その身がピンク色になります。養殖ではオキアミの持つ色素と似た化合物をエサに入れることで、身にピンク色がつきます。
その赤い色素がアスタキサンチンです。アスタキサンチンは食品添加物としても基準をクリアしていて、安全が保証されています。サクラマスやアトランティックサーモンなど、日本だけでなく、海外でも養殖では同様にエサにアスタキサンチンを含んだものを与えています。また、アスタキサンチンは身をピンク色にするだけでなく、抗酸化作用があることが分かっています。現在では、アスタキサンチンは化粧品やサプリメントなどでも広く使用されています。このアスタキサンチンによって、信州サーモンはサーモンのようなピンク色の身になるんです。
信州サーモンの秘密
信州サーモンは交配種で鮭ではありませんが、ニジマスもブラウントラウトも同じサケ科の魚です。ニジマスはサケ科太平洋サケ属、ブラウントラウトはサケ科大西洋サケ属に属しています。近い種ではありますが、普通に交配はできず、できたとしても受精卵が成長することはありません。そこで最先端のバイオテクノロジーの出番です。
信州サーモンはお母さんがニジマスで、お父さんがブラウントラウトです。ニジマスの受精卵に圧力を加えて、2倍体の染色体を4倍体に増やします。その染色体を倍にした受精卵を成長させ、4倍体のニジマスのメスを成長させます。これが信州サーモンのお母さんです。次に、ブラウントラウトのメスをホルモンによってオスに性転換させます。こうすると、子孫にメスしかできないオスになったメスのブラウントラウトになります。これが信州サーモンのお父さんです。
4倍体であるニジマスの卵に、雄性に変わったブラウントラウトを交配させると、3倍体の個体ができます。これが信州サーモンです。この3倍体である信州サーモンは繁殖能力がなく、子孫を残すことができません。しかしそのため、繁殖に用いられるエネルギーや栄養を自身に使うことができるので、成長速度が速く、脂ののった肉厚の身になるのです。また、病気に強い特徴もあります。
こうした、世界でも最先端なバイオテクノロジーによって誕生した信州サーモンは、一年を通しておいしい状態が維持できるんです。
子供も安心して食べられる信州サーモン!
最新のテクノロジーによって誕生した信州サーモン、子どもに食べさせても大丈夫なの?と不安になる方も多いのでは?最近話題になりましたが、一般的な魚には寄生虫がいます。知らない人も多いですが、魚は内臓に寄生虫がいることが多く、加熱処理か冷凍技術を施す必要があります。(ご家庭では加熱でしか寄生虫の危険を排除できないので、冷凍して生食で召し上がるのは絶対に避けましょう。)しかし、養殖の魚には寄生虫がいません!なぜなら、寄生虫がいるエサを食べないからです。また、養殖の施設は厳しい管理基準のもと飼育しているので、病気などにかかってもすぐに対処できます。養殖の魚は天然の魚に比べ、添加物や化学薬品を摂取するから危険なのではという意見もありますが、寄生虫や海のプラスチックなどを摂取しないのでより安全との意見もあります。
エサや医療時に使われる添加物や薬品は、法律で決められた厳しい健康管理の下で飼育されていて、医薬品を使った場合は使用記録をつける義務があります。また、最近では魚にもワクチンが開発され、病気にかかりにくく、薬を使用する機会自体が少なくなっています。天然と養殖では簡単にどちらが安全や危険などとは比べにくいですが、養殖だから危険ということはなく、寄生虫や病気、今問題になっているプラスチックなどを考えれば安全といえます。
養殖のサーモンが安全なのは、生食ができるという点でもわかります。鮭の名前がつく店頭の商品は加熱用の物しかありません。なぜなら、寄生虫の危険をはらんでいるからです。しかし、サーモンとつく養殖魚の商品は、刺身やカルパッチョなど生食用のものが多くあります。寄生虫の危険がないため、生食ができるのは養殖魚がほとんどなのです。加熱用の鮭などを、刺身のような生食で召し上がらないように注意してくださいね。
つまり、信州サーモンは生で食べてもOK!お寿司や刺身が好きなお子様でも安心して召し上がれます。ぜひ、その脂や身の柔らかさをぜひご堪能ください。ただし、生ものですので2歳以下のお子様には避けてあげてくださいね。
まとめ
出典:photoAC
安曇野の信州サーモンについてご紹介しました!信州サーモンにはおいしさや安全の秘密がたくさんありますね。安曇野では、信州サーモンはオレンジののぼりが立っているお店で召し上がることができますよ。店先で信州サーモンののぼりがあるか、チェックしてみてください。
みなさんも信州サーモンを食べるときに、ぜひ信州サーモンの秘密を思い出してみてくださいね。
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